A.著作隣接権とは
著作物の利用においては、歌手や俳優・演奏家・指揮者などの、著作物自体の創作はせずに「表現」を専門に行う人を介して提供されることが多く、これら実演家による実演も保護すべき価値あるものです。
またこれと同様にレコード製作者・放送事業者も、著作物自体の創作をするとは限らないものの著作物の伝達に重要な役割を担っており、レコードや放送の利用についても保護する必要があります。
これら、著作物を利用伝達する者を保護するのが著作隣接権です。
著作隣接権は財産的権利として、著作権に似た内容の権利が認められています。また、実演家については人格的要素も保護するため、実演家人格権(氏名表示権、同一性保持権)が認められています。著作権との共通点: ・無方式主義
著作権との相違点: ・報酬、二次使用料を受ける権利が明記されている
・公表権はない
・保護期間は実演(発行)が行われた年の翌年から50年
実演家とは、「俳優、舞踏家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者」をいいます。
「実演」とは、「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗読し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。」と著作権法に定められています。
したがって、著作物を演じなくとも、著作物を演ずることに類する行為で「芸能的な性質を有するもの」を行う者も「実演家」に含まれます。
例1:漫才師、落語家、手品師なども実演家にあたります。
例2:歌手でも単なるコメンテーターとしてテレビ出演するような場合は、実演家とはなりません。