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意匠法改正の動向について 

 

意匠法の大きな改正が検討されています。

2018年12月17日には特許庁ホームページでも、意匠制度の見直し案がパブリックコメントとして公表されました。画像デザイン保護の拡大、不動産を新たに保護対象化、関連意匠の保護の拡大、意匠権存続期間の延長など、大きな改正となる見込みですので今年の正式な発表が注目されます。

今回の意匠法改正により、企業のデザイン戦略を強化し、意匠制度の利便性の向上が期待されますので、主な改正案を以下にご紹介します(この内容はまだ確定したものではありませんのでご注意ください)。

(1)画像デザインの保護拡大

【改正案】操作画像や表示画像について、画像が物品に記録・表示されているかどうかにかかわらず保護対象とする。

現行意匠法では、権利範囲の明確化のため、意匠と物品との関連性が必要ですが、画像デザインについては、IoT等の普及により物品以外の場所にも表示される、あるいはクラウドサービスを通じて画像が表示される、など多様化しています。そこで、画像デザインについては、物品との関連性にかかわらず保護対象とすることが適当と考えられます

(2)空間デザインの保護

【改正案】現行意匠法の保護対象である物品(動産)に加え、建築物(不動産)も保護対象とする。

昨今、独創的な意匠を凝らした店舗デザインの例が見られ、建築物についてもブランド価値の創出の観点からデザインの重要性が高まっています。また、オフィスの内装のように、家具や什器の組合せや配置、壁や床の装飾等により構成される内装デザインも保護すべきものです。このような店舗デザインや内装デザインは、トレードトレスとも言われ、不正競争防止法による係争も多く保護のニーズがあるため、意匠法で保護対象とすることが適当と考えられます。

(3)関連意匠制度の拡充

【改正案】①関連意匠の出願期間を、本意匠の出願から10年以内に延長する。

長期間にわたってモデルチェンジを継続的に行う企業が増えており、このような企業のデザインを保護するため、関連意匠を出願できる期間を延長します。ただし、本意匠の意匠権が存続している場合に限り関連意匠の出願を認めます。

【改正案】②関連意匠にのみ類似する意匠の登録を認める。

製品等のデザインに少しずつ改良を加えていく開発手法が増加しているため、関連意匠にのみ類似する意匠を登録可能とする改正案です。

例えば、本意匠、その関連意匠A、Aにのみ類似する関連意匠B、Bにのみ類似する関連意匠C、というように、本意匠から連鎖して類似する意匠全てが登録可能となります。

(4)意匠権の存続期間の延長

【改正案】意匠権の存続期間を、出願日から25年とする。

現行意匠法では、存続期間は設定登録日から20年ですが、意匠権を長期的に維持するニーズが高まっていることから、存続期間をさらに延長します。

(5)複数意匠一括出願の導入

【改正案】一つの願書で複数の意匠の出願を認める。

意匠の国際登録に関するハーグ協定に基づく意匠の国際登録制度では、複数意匠の一括出願が認められており、国内出願についても一つの願書で複数の意匠の出願を認めます。

しかし、一つの意匠ごとに一つの意匠権を発生させる原則は維持し、実体審査や意匠登録は現行と同じく意匠ごとに行います。

(6)物品区分の扱いの見直し

【改正案】物品自体が明確である場合には、物品区分表の区分と同程度の区分を記載していないことを拒絶理由の対象としない。

現行法では、意匠登録出願は経済産業省令で定める物品の区分によりしなければならないと規定されていますが、これと同程度の区分を記載していない出願は拒絶理由の対象となり、権利化の遅延となっています。また、多様な新製品が次々と市場に流通するようになってきており、機動的に区分表を更新するため告示等で整備すべきとの考えです。

2018.12.26時点

 

 

 

 

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