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【同意書によるコンセント制度・他人の氏名】商標法改正に伴う商標審査基準の改訂案が公表されました

商標審査基準ワーキンググループが開催され、配布資料が2023年12月13日に一般公開されました。

その中から、商標審査基準改訂案(4条4項、4条1項8号)について解説します。


1.同意書によるコンセント制度の審査基準改訂案

他人の登録商標が引用され商標法4条1項11号で拒絶されたとしても、改正後の商標法4条4項により登録を受けるためには、(a)先行商標権者の承諾を得ていること、(b)先行商標権者との間で出所混同のおそれがないこと、が必要です。

これらの要件について、改訂案は以下のように説明しています。

(a)先行商標権者の承諾を得ていること

引用商標権者の承諾の意思表示は、商標登録出願の査定時に必要となります。

(b)先行商標権者との間で出所混同のおそれがないこと

混同を生ずるおそれとは、商品・役務の出所が同一であると誤認されるおそれがあること、親子会社や系列会社等の関係にあると誤認されるおそれがあることをいいます。

これらは、出願商標と引用商標の類似度、周知度、需要者の共通性等、具体的事情を考慮して判断されますが、同一の商標を同一の指定商品・役務に使用するものは、原則として混同のおそれが高いと判断されます。

ところで、具体的事情は、査定後に変動することが予想されます。変動し得る事情に基づいて類似する商標が並存登録されてしまっては、将来に商標の混同が生ずるおそれを否定できません。したがって、商標登録出願の査定時のみならず、将来にわたって混同を生ずるおそれがないと判断される必要があります。これには、例えば商標の使用時に常に社名を併記すること等、将来の混同のおそれを否定できるような事情が有利に考慮されます。

同意書によるコンセント制度導入後も、4条4項の適用を受けるためには、ただ引用商標権者の承諾を得るだけではなく、混同のおそれが生じないように、予め契約書等で商標の使用態様を定めること等が必要と思われます。


2.他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和(4条1項8号)の審査基準改訂案

商標法4条1項8号が改正され、「他人の氏名」であっても、(a)商標を使用する商品・役務の分野における需要者の間に広く認識されている氏名でなく、(b)政令で定める要件に該当しないものであれば、登録を受けられるようになります。

これらの要件について、改訂案は以下のように説明しています。

(a)商標を使用する商品・役務の分野における需要者の間に広く認識されている氏名でないこと

これは、指定商品・役務のみならず、商標に含まれる「他人の氏名」と関連性を有する商品・役務を考慮して判断されます。例えば、氏名「XYZ」さんが地方で小さな駄菓子屋(店舗名:XYZ)を営んでいる場合、他者がその氏名「XYZ」を含む商標(商品:スマートフォン)を出願しても、スマートフォンに付された商標を見て駄菓子屋の「XYZ」さんを連想・想起しなければ、当該出願に4条1項8号は適用されないと考えられます。

(b)政令で定める要件に該当しないこと

政令で定める要件の1つ目として、「他人の氏名」と出願人の間に相当の関連性があること、が必要です。これには、例えば出願人が法人であれば、「他人の氏名」が創業者や代表者の氏名であること、出願前から継続的に使用している店名であること、等が挙げられます。

政令で定める要件の2つ目として、出願人が不正の目的で登録を受けようとするものではないこと、が必要です。例えば、他人への嫌がらせや、商標を先取りして買い取らせる目的が、公開されている情報や、情報提供等による資料から認められれば、不正の目的があると判断されます。

自己の氏名が他人に出願されることを防ぐために、情報提供を行うことが有効となる可能性があります。デザイナーの氏名を冠したブランド等においては、既存事業の範囲だけでなく関連事業についても、日々の商標ウォッチングが重要となりそうです。


3.現状の疑問点

(Q1.)
同意書によるコンセント制度において、指定商品又は役務を棲み分けるための補正は必要ですか?例えば、出願商標と引用商標の商品が共に靴類(類似群コード22A01)であって、一方は雨靴、他方がビーチシューズに使用する場合に、出願人は商品を減縮する必要がありますか?
(A1.)
はい。出願人に商品の減縮が求められる可能性が高いですが、引用商標の一部放棄が求められる予定はないようです。今後特許庁が指針を出すと思われます。

(Q2.)
施行日前にした出願に改正条文(商標法4条4項・4条1項8号)は適用されますか?
(A2.)
いいえ。施行日前にした出願については、改正条文は適用されません。

(Q3.)
施行日後に分割出願した場合に改正条文(商標法4条4項・4条1項8号)は適用されますか?
(A3.)
いいえ。分割出願の遡及効により施行前の条文で審査されます。

(Q4.)
最初の出願が施行日前である施行日後のパリ条約等による優先権を伴う出願に改正条文(商標法4条4項・4条1項8号)は適用されますか?
(A4.)
はい。日本の出願日が施行日後であれば、改正条文の適用を受けることが可能です。

(Q5.)
同意書によって併存登録された商標同士の使用に混同が生じるとどうなりますか?
(A5.)
業務上の利益が害される虞れのある商標権者等は、他方に対して混同防止表示請求が可能です(商標法24条の4)。また、不正競争の目的で、他方と混同を生じさせる使用をした結果、出所混同が生じている場合は何人も不正使用取消審判の請求が可能です(52条の2)。これは、譲渡再譲渡(アサインバック)で登録した場合も同様です。

(Q6.)
同意書による登録とアサインバックによる登録に違いはありますか?
(A6.)
同意書の提出による商標登録は特許庁のJplatPat上で確認ができ、同意書は商標公報により閲覧が可能です。


4.参考文献

産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会第35回商標審査基準ワーキンググループ配付資料

コンセント制度に関するQ&A | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和されます | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

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