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商標の同一人による大量の剽窃(冒認)出願について

商標の同一人(法人)による大量の剽窃(冒認)出願について

 新聞やテレビにて報道されておりますように、特定の法人が特許庁に大量の商標登録出願を行っており、商標の安全な使用に重大な懸念が生じている点が生じておりますので、これにつきまして当所の見解をお伝えいたします。

  • 商標登録の可能性は極めて低いです。

商標法は先願登録主義を採用しており、使用の事実が無くても客観的に確認し得る使用の意思があれば、登録要件を満たす限り商標登録を行うことができます。

この特定人は、大量の商標登録出願を行っていますが、殆どの出願は特許庁に収める印紙を支払ってません。従いまして、殆ど全てと言っていいほど、出願が却下されています。出願が却下されますと、先願の地位は残りません(商標法8条3項)。

特定人の出願実績は1万件以上ですが、登録件数は10件に満たない状況です。

この特定人は、出願の分割を行って出願の延命措置を行うことも多々あります。適法な分割出願は元の出願の出願日の利益を享有することができますが、特定人は不適法な分割出願をおこなっていますので、分割出願は通常の商標出願として扱われています。

出願の印紙代を支払った場合、次に実体審査が行われますが、審査内容は、出願商標の使用の意思の有無、冒認・剽窃出願、公序良俗等(商標法3条1項柱書、4条1項各号)について判断が行われます。特定人は、これらに反することは明らかなので、その出願が登録される可能性は極めて低いです。

仮に、商標登録を許可された場合でも、その登録を取消又は無効とする手段として、商標登録異議申立・無効審判・不使用取消審判による対抗が可能です。商標登録が消滅すれば商標権を主張することはできません。

出願中の商標を保護するものとして、金銭的請求権というものがあります(商標法13条の2)。しかし、これは使用の中止を求められるものではなく、登録後に実際の業務上の損失を賠償することが可能というものです。特定人には実際の業務がないので損失がないものとなります。

  • 商標権侵害が成立する可能性は極めて低いです。

商標法は価値ある業務上の信用が化体した商標を保護する法律であり、形式的な商標登録については、それを保護する実益が無いとして、権利濫用として権利行使は否定されることになります。また、商標登録によって商標権は発生しますので、商標登録が行われる前に商標権侵害や商標侵害という状態に陥ることはありません。最高裁の判決でも使用の実績が全くない商標については損害賠償請求が否定されおり、実務上この考え方が通説となっています(平成9年3月11日 最高裁判所第三小法廷)。差止請求についても同様の解釈を適用することができます。また、権利を消滅させる対抗措置も取り得るものですので、直ちに使用を中止する必要はありません。

さらに、商標権の侵害は商標的な使用態様にのみ成立するものです(商標法26条1項6号)。商標とは商品又はサービスの名称ですので、単に、歌の題名、流行語等の使用は商標的使用とは言えませんので、この点からの対抗も可能です。

 

  • 対応策

特許庁へ出願印紙を支払わなくても、出願日は認定されてしまいます(商標法5条の2)。これは、商標法条約及びシンガポール条約の要請に基づくもので、改正することには大きなハードルがあります。いくら商標登録及び権利侵害が成立する可能性低いとしても、ビジネスの懸念材料になることは明らかです。重要な商標・名称は、報道発表する前にきちんと商標登録出願を行うこと、また、出願時の特例(商標法9条)を利用できるのであれば、それを活用することが重要になります。

何か、本件につきましてご不明な点がございましたら、当所までご相談下さい。

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