カナダの商標法について、大きな改正が予定されていますので、その主な改正点をご紹介いたします。
【施行日】
施行日は2019年6月17日となります。
【出願の簡素化】
これまで出願に際しては使用の意思、使用、又は外国登録が必要とされていたところ、これらの条件は不要とされます。そして、使用宣誓供述書の提出も不要となります。なお、これまでの権利発生における使用主義を登録主義に変更するものでは無く、登録作業における先使用主義が先願主義に変更されたと考えるものです。従いまして、権利行使にあたっては使用を行っていることが前提となります。
【使用宣誓供述書が不要】
使用宣誓供述書の提出は不要になり、出願時も使用に関する情報の提供は必要なくなりました。これは施行日後の出願の他、施行日前の未登録の出願についても適用されます。すなわち、登録料を払えば登録となります。したがって、現在使用宣誓書の提出期間に入っている案件でも、延長を行うことで宣誓書の提出なしで登録することが出来ます。
【商標保護範囲の拡大】
改正後には色彩自体、ホログラム、動き、包装、音響、臭い、味覚、触覚、位置等も登録可能となります。
【国際分類の採用】
ニース協定への加盟に伴い国際分類に準じた商品役務の指定が可能となります。
【出願分割】
多区分出願について、出願の分割が認められるようになります。
【存続期間】
存続期間はこれまでの登録日より15年から10年となります。更新はいつでも行うことができるため、存続期間の残存期間が僅かな場合には、先んじて15年更新しておくとよいでしょう。
【マドプロ加盟】
マドリッドプロトコル加盟することによりカナダの指定が可能となり、カナダへの権利化の手段が増えます。
【識別力の審査の厳格化】
これまで審査内容は、先行商標、記述性、一般氏名や公益不適格性等限定的範囲でしたが、これに加えて、識別力が無いことを根拠に拒絶することができるようになります。その結果、1文字商標やスローガン、数字のみからなる商標は顕著性取得を主張しない限り拒絶されることになります。
【情報提供】
出願中の商標について情報提供を行うことが可能となります。
【関連商標の廃止】
これまで関連ある商標の紐づけを行っていましたが、これは廃止となります。
【その他】
異議申立及び不使用取消審判の手続も簡素化されます。
以上