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「マキシマム」事件のご紹介

平成26年5月21日判決
平成25年(行ケ)第10345号 審決取消請求事件

商標登録出願拒絶査定不服審判請求に対する不成立審決の取消訴訟である。
本願商標と引用商標との類否(商標法4条1項11号)について、本願商標は図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標であり、分離観察により比較を行い引用商標と類似すると判断された。

【判決の概要】
本願商標        
1  
商願2012-31582号
指定商品:第25類「木綿を含むティーシャツ,木綿を含むポロシャツ」

引用商標
2
登録第5237252号
指定商品 第25類「洋服」他

本願商標中の「maximum」の文字部分は、顕著に大きく表され、特徴的な筆記体で書されているが、判読困難なほどに装飾的な字体ではなく一見して、「maximum」であると判読できる。この「maximum」の文字からは「最大」「最大級」の概念が生じるが、取引者、需要者は「maximum」の文字部分を、本願指定商品との関係で、単なる名詞又は形容詞としての意味合いを示すものではなく、特定の出所を表示する固有名詞を示す部分であると認識するものと推測できる。
一方、「COTTON」の文字部分は、「綿,木綿」の意味を有し、その指定商品「木綿を含むティーシャツ,木綿を含むポロシャツ」との関係においては、単に商品の原材料を理解させるにすぎない。また、「COTTON」の文字からすればその下部の絵図は綿花を看取させ、単に商品の原材料を理解させる。下方の5段に表された文字群は、極めて小さな文字で細かく書されているから、印象的で記憶に残りやすい部分とはいえない。
「maximum」の文字が横向きの状態で配されているのに対し、それ以外の部分は通常の配されているため、その構成上、「maximum」の文字部分とそれ以外とは分離して看取されるものである。
そうすると、「maximum」の文字部分は、「COTTON」の文字部分及び花実様の絵図部分とは、構成上も、その意味の上からも、分離して看取、把握され、本願商標に接した取引者、需要者は上段に大きく記載された印象的な部分であり、自他識別機能を有する部分である「maximum」の文字部分を強く意識することが多いものと認められ、この部分が本願商標の要部をなすというべきである。

したがって本願商標はその構成中「maximum」の文字部分から「マキシマム」の称呼及び「最大」の観念を生ずるというのが相当である。
そこで、本願商標と引用商標を比較すると、本願商標と引用商標は、その外観は差異を有するとしても「マキシマム」の称呼及び「最大」の観念を共通にするから、これらを総合的に勘案すると、時と所を異にして接する需要者にとっては互いに紛らわしい類似の商標というべきである。

【考察】
商標法4条1項11号に係る商標の類否は、対比する商標の全体観察により行うのが原則である(注)。この原則からすると、本願商標は「maximum」部分のみでなく、結合商標として他の文字部分及び図形をも一体的に用いていることから全体観察により判断すべきである、との主張が考えられる。
しかし、判決では「本願商標の使用に当たって、「maximum」の文字部分を分離することなく、一体的にのみ利用しているとしても、本願商標の構成自体から「maximum」の文字部分がその他の文字、図形とは分離して認識され、最も注目されるものである」として、本願商標の場合には分離観察されることが示されている。

原告は、引用商標の出願の数ヶ月後に文字のみの出願(参考商標1)を行っており、「マキシマム\MAXIMUM」のみの参考商標1は先行商標を理由として拒絶査定を受けている。

(参考商標1)
3
商願2008-37738号 拒絶査定
指定商品 第25類「被服」他

また、原告は、下記の態様(参考商標2)でも本件と同時に商標出願を行い、本件と同一の引用商標を理由として拒絶理由通知されたが、こちらは拒絶査定不服審判により登録が認められている。

(参考商標2)
4
登録第5639601号
指定商品 第25類「ティーシャツ,ポロシャツ」
参考商標3の中央の筆記体状の文字様の部分は、何らかの英文字が筆記体で表されているものと看取されるとしても、一見していかなる文字を表してなるのか、具体的に把握することはできない」として、「マキシマム」の称呼及び「最大限」の観念が生じないため、引用商標とは非類似と判断されている。

本願商標の場合は、「maximum」の文字以外の図形や文字部分は枠線内のスペースの半分を占め一見して他の部分も注目されるとも考えられるが、内容が記述的であり、これらが出所表示機能を有するものとは認められなかった。
上記の拒絶又は登録の例から考えると、「maximum」の文字と他の文字の向きを揃え、同じ書体とするなどより一体的な構成とすれば、全体観察により異なる判断となる可能性はあると考えられる。例えば「maximum」の語を含む商標は第25類において下記が登録されている。

登録第5196437号「5
登録第4332980号「6
登録第5276991号「7

「maximum」は「最高の」という等級表示とも解され、この程度の結合商標であれば非類似として引用商標と並存登録可能であることがわかる。
商標出願の際には、先行登録商標の有無を確認するのみならず、先行商標を勘案して登録可能性の高い商標構成とすることを弁理士に相談することが必要である。

(注)対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、そのためには、まずその外観、観念、称呼の対比を基準にして、取引者・需要者等に与える印象、記憶、連想等を総合し、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁)。

しかし、図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、各構成部分の一体性が弱ければ、経験則上、当該部分だけによって称呼、観念される場合があり、特に、当該部分が取引者・需要者等に対し商品又は役務の出所識別標章として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合などには、当該部分を要部として抽出し、この部分をもって他人の商標と比較して商標としての類否を判断すべきものといえる(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・集民228号561頁)。

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